あの日感じた全てを僕はまだ忘れられない
まだ女性という存在がキラキラして見えていた(今もそれは見えている、常に。眩しすぎるくらいに、目がくらむほどに艶やかに。)
若かりし頃の話。
まだ社会人になりたてで、社会の荒波に揉まれふにゃふにゃになってたどころかもうもまれすぎちゃって、あもうちょっと、、、あ、や、やばいかもです、、、くらいには常にがちがちにキマッていた僕に突然、女性からとある連絡が舞い込む。
「先輩、今週末暇ですか?」
はい暇です。
女性から「先輩、今週末暇ですか?」の問いに対して、いやちょっとその日は、、、なんていう人この世にいません。
いるわけがありません。いるんであればそうですね、男が悪いというか女性サイドは少し考えていただほうがいい。
その男はろくでもありません。
一平等な解答かもしれないですよ、はい、暇です。なんてのは
でも、間違っても僕は、ちょっとその日は、、、なんて愚かな事を言いません。
僕は、断りません。絶対に。女性からのやつは絶対です。時間は作ればいいだけ。簡単な事です。
なので女性の皆さまは以降、一度断られたらもうその男を見放してください。
あなたの時間と心、そしてその美しい全てが勿体ない。
いいですか、大事な事なのでもう一度いいます。
一度断られたらもうその男を見放してください。
そして僕に連絡くだsdlsg
少し自分よがりな文面になってしまったが、話を戻して、
後輩の女の子から連絡がきたんです。
当時ストリートダンスをやっていた時の後輩で、控えめに言って可愛い子。
正直、街を一緒に歩くとか少しビビっちゃうくらいなやつ。
ですが、この当時社会に揉まれすぎちゃってフルボッキ状態の僕には
パァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー案件な訳です。
断る理由がない。
暇だし。
即答をかまし、彼女からもすぐに返信がきた。
「よかった!お茶でも行きましょう!12:00で大丈夫ですか?」
お茶、、、?
おいおい、おいおいおいおいおい、お茶ってなんだ、、、?それもう一線超えてからするやつじゃないの、?
なにすんのお茶って。てかどこですんの。スタバとか行くやつ?てか、昼、、、?昼からってなにすんの。これがあれだ、デートってやつだ。昼からデートってなにすんの。
女子とサシ、、、お茶、、、、え、長くなるなーこれわなーーーー!!!!
今思い返すとこれが最初で最後のお茶だった気がする。
これに対してももちろんオッケーを出す訳だが、昼からおしゃれなカフェで女子と時間を過ごすなんて高等技術は持っておらず、だいたい居酒屋が限界だし、そもそもシラフでとかマジ無理。
今考えてもこれは無理。欲張りすぎ。世に出回る欲張りパックを謳う商品やプランくらい欲張り。
これが人生の転機だと、大きな天空の扉が開いたのだと思った。
わくわくとどきどきとそわそわとむらむらが止まらなかった。
どんな服を着て行こうか、なにを話そうか沢山考えたに違いない。
そして当日。
戦いの火蓋が切られた。
当然の如く、紳士として15分前に現着。
音楽を聴きながら、特になにか見る訳でもないくせに携帯を見てるふりをかまし、声を向こうから掛けさせる非道な手口を用いて、店前で待ち構える。
「お久しぶりですー!」
きた。
「んおうい」
緊張しすぎて謎の返答。
もうここからの記憶はほぼない。
楽しかったのか楽しくなかったのかも覚えてない。
結果から言えばその後楽しくて楽しくてな展開はなにもなかったということだ。
だが、鮮明に覚えている記憶はカフェを出ようかというところからまた始まる。
「この後、まだ時間ありますか?少し付き合ってほしい所があるんです」
その時僕はまだ楽しいことになるとほぼ確信していた為、当然二つ返事。
言われるがまま付いて行ったところはなんか英語が書いてあるビル。
中に入るといろんな食べ物や飲み物、化粧品から家電製品まで狭い1フロアに並べられていた。
なんかほしいものでもあるんだろうに、、、買ってやるよなんでも!!!
なんでもなぁぁぁあああ!!
と気合いを入れるもこの場をスルー。
ん、、、、?と思って通されたのはなにやら広めの会議室。
ここは一体、、、と周りを見渡し、向かって正面の大きなホワイトボードに書かれている文字を確認した。
「はじめてのアムウェイ~成功者の体験談~」
図ったな、、、、小娘、、、、
ねずみ講じゃねぇか!!!!!!!!!!!
無知で欲求しかない馬鹿でもアムウェイは聞いたことがある。
なんかやばいやつ。
ここまでまったく気が付かなかった。
僕は釣られていたのだと。
貴重な休みの日中。
当日までのわくわくとどきどきとそわそわとむらむら。
前日の自己作戦会議。
怒りのような感情を通り越し全てが滑稽に思えた。
なんだよこれ!!なんて言わず、おとなしく席に座り、講習を受け、成功した人の海外旅行話を聞く。
3時間くらい聞いたのかな。
会場には騙し騙された者のツーペアがいっぱいいたような気がする。
信者たちはキラキラした顔で成功者の公演を聞く横で、騙された者は皆怯えているというなんともカオスな状況。
長い謎な時間を過ごし、帰り際に彼女はこういった。
「興味あったら私に連絡くださいね☆」
うん。といって、アムウェイビル前で別れた。
その日見た澄み切った空や、雑踏、感覚、悲しみと怒りのその先、自分の哀れさをまだ忘れられない。
そんなことをもうすぐ1年が終わるタイミングでふと思い出し、キーボードを打ち始めた。
なんか俺ふつうにかわいそうだなって話。